青山円形劇場プロデュース

室温〜夜の音楽〜

2001/7/5〜21 青山円形劇場

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:佐藤アツヒロ、中嶋朋子、近藤芳正、三宅弘城、内田紳一郎、村岡希美、石川浩司・知久寿焼・滝本晃司(たま)、北野仁、佐々木光弘、佐藤剛成、戸田正範、中西広和<ナイロン参加時・天外>、日栄洋祐

<主要な役>海老沢=内田紳一郎、キオリ(サオリ)=中嶋朋子、間宮=佐藤アツヒロ、赤井(藤崎)=村岡希美

<メモ>・青山円形劇場プロデュースとして公演。会場の規模は小規模ながら素晴らしい作品で、これによりケラは第5回鶴屋南北戯曲賞・第9回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。第1回朝日舞台芸術賞の対象公演でもある。
・ナイロン通販で戯曲購入可能。一般書店でも取り扱い。サントラは、たまの名義で大手レコードショップで取り扱い(地球レコードから発売)。一部の曲がミニCDとして戯曲に付属。未映像化(ドラマについては下記参照)。
・ジャニーズ事務所所属の俳優(アイドル)が主演する、30分の深夜番組「少年タイヤ」でこの公演はドラマ化された。「少年タイヤ」(続く「演技者。」もフォルムはほとんど変えずに続いている)は小劇場の作品を次々にドラマ化しており、マキノノゾミ(M.O.P.)の「黒いハンカチーフ」や土田英生(MONO)の「錦鯉」などが映像化されており、これらはまとめて04年9月にDVDになる予定。「少年タイヤ」版では、内田紳一郎と村岡希美の配役だけが変わらず、残りは間宮=長野博や木村=井ノ原快彦など、V6の面々が顔を揃えた。
・セットは室内部分と屋外部分が壁を仕切らずに見えており、様々な場所から出ハケが成立する。具象セットではあるが、死者たちは自由にその場を行き交うことができ、そうすることによって生死の境界線が曖昧になるという、劇世界そのものと連携する形になっている。
・芝居の全体を覆うのは「死」の空気。だが暗鬱な背景を抱えているのはむしろ生きている者であり、死者は明るい笑顔で出てきている。これらの死者を演じたのがたまの3人。
・ケラとたまのコラボレーションは「薔薇と大砲」とこの作品、そして「ドント・トラスト・オーバー・30」の3作品だが、この作品が最もたまの曲が有機的に機能した作品になった。SEを除いて、劇中で鳴る音楽は全てたまの曲(サントラに収録されていないが、「ロシヤのパン」も一部演奏されている)。
・ケラの書くシリアス・コメディは、異世界に飛躍することがほとんどだが、この作品は現実世界に宿る病理から作り出されたもの。モデルになった事件も、ノンフィクションの文献からの引用になっている。また、登場人物の全員がなにがしかの悪事に加担しているというのも、ケラ作品では珍しい設定。
・むしろ大胆な事件の犯人であった間宮の行動が、一番観客を安心させた。非常に怖いラストでありながら、なおも美しい結末を決定づけるのも、間宮の「異常な」言動。
・ゴシック・ホラーと評されることが多いが、サスペンスと両立した形で描かれている。つまり、怪談の怖さと現実に殺人が起こるという怖さの二段構えで成立している。
・笑いに転じた場所で最もばかばかしいのが、死んだ少年が石を食べるシーン。ここだけ書くと変だが、非常に安心して笑える場所。

青山劇場・青山円形劇場

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