オリガト・プラスティコvol.1

カフカズ・ディック

2001/1/26〜2/4 下北沢本多劇場
2/6〜7 近鉄小劇場

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:広岡由里子、小須田康人、山崎一、田山涼成、三上市朗、正名僕蔵、廣川三憲、内田春菊、松永玲子、小沢真珠

<主要な役>フランツ・カフカ=小須田康人、マックス・ブロート=山崎一、フェリーツェ=広岡由里子、ミレナ=内田春菊

<メモ>・オリガト・プラスティコはケラと広岡由里子の演劇ユニット。これが第一回公演。
・未映像化。特にオリガト・プラスティコは制作がシリーウォークではなく森崎事務所であるため、ケラの一存ではなかなか決まらない。ほぼ絶望的と考えた方がよいだろう。戯曲はナイロン通販で取り扱い。一般書店にもあるが、在庫はおそらくわずか。
・ユニット名はプラスチックスのアルバムタイトルから拝借されたもの。
・キャスティングの豪華さに目を奪われるが、この芝居はいたってウェルメイドで、キャストから想像するような騒々しいものではない。
・セットは立方体のオブジェを何個も組み上げることで一つの舞台にしている。非対称で、上下の分かれ目がない。
・基本的にはカフカの評伝もの。ただ、「普通に書いたのでは先の研究家さんたちの方の文献の方が圧倒的にしっかりしている」ので、ケラなりの作り替えが行われている。特に、カフカとマックス・ブロートの関係からカフカ像を浮き彫りにした芝居は稀。カフカの恋人を主軸に据えた作品に、燐光群の「ミレナ」など。
・ケラの芝居はよく「カフカ的」と評されるが、それに真っ向から取り組んだ初の作品。ケラ自身がカフカに初めて触れたのは小3の時だったらしい。本当に読めたんだろうか?
・カフカ自身の小説の一節を積極的に取り入れ、悪夢的なニュアンスを前面に押し出している。一方では、一つのレストランの中で3回時間を飛び越えるなどの、極めて演劇的な演出もあり。
・ナンセンスの旨味も確かにあるが、戦争や死といった暗鬱な空気が舞台を全体的に支配している。それはカフカの小説世界そのものに関連してストーリーは進んでいく。
・単純に書いてしまえば、ブロートがカフカの失われた遺作を探し、それを出版するまでの話だが、結果的にそれは失敗に終わる(ブロート自身が出版社から原稿を引き上げてしまう)。実質、主役はカフカではなくブロートといった感すらある。
・演じる役柄をポンポンと変えていく小須田康人の演技が絶妙。
・非常にうまくできている作品なのに、公演期間が短いのがもったいなかった。ラストの三回忌のシーンは悲しく、そして美しい。この直後のナイロンの公演が「すべての犬は天国へ行く」。

森崎事務所

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