19th SESSION

絶望居士のためのコント

2000/3/25〜4/4 新宿紀伊國屋ホール

作:いとうせいこう、ブルースカイ、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、別役実
構成・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:大倉孝二、小林高鹿、松永玲子、峯村リエ、三宅弘城、村岡希美、村杉蝉之介

<メモ>・本公演では初となる、オムニバスコント集。原作はいとうせいこうが91年に雑誌「SWITCH」に連載していた「幻覚カプセル」(単行本の発刊は92年)。
・未映像化。「フローズン・ビーチ」DVDの特典映像の中、峯村リエ・松永玲子の部分に一部入っているのみ。
・「幻覚カプセル」から上演されたものは以下の7本。
「幻覚カプセル」「告知」「トランプ」「反古になる誓い」「秘密王」「絶望呼びの男」「死に至る病」
・これらにケラの「嘘の森」「コント」、ブルースカイの「吸血鬼」「時限爆弾」、別役実の「死体がひとつ」を合わせ、計12本のコントが2時間弱の上演時間に収められた。
・みのすけと犬山犬子が共に欠番したのは「フリドニア」以来。
・「絶望」はこの芝居のキーワードになっているが、これはセーレン・キェルケゴールの「死に至る病」から発想されたもの。どうでもいいけど、この哲学書は難しすぎて読めない。
・何カ所かにこの当時のケラのインタビュー映像が残されているが、尋常ではないテンションの低さを感じ取ることができる。
・全てのコントに一貫性があるわけではなく、関連があるのは「幻覚カプセル」と「死に至る病」のみ。むしろテイストをばらつかせることで一つの匂いを作り出しているといった感。ナンセンスもアチャラカもオールインワンになっている。
・セットはセンター奧に柱が2本立っているだけで、残りは全て小道具で作り出す、いわゆる一般的なコントの作り方で構築された。
・この頃から大倉孝二はボケ役ではなくつっこみに転じている。特に「反古になる誓い」と「コント」は見ている側が恐ろしくなるまでの存在感を出している。「反古になる誓い」は、ナイロンでは珍しく、アドリブが許されている。
・「嘘の森」の中での「この人は嘘つきか、嘘つきでないか」という、見ている人間までよく分からなくなるやり取りは、ケラが好んで使うもの。他の代表的なものに「下北ビートニクス」の「実行予算書が得をしているか損をしているか」、「ザ・ガンビーズ・ショウ」の「海外以外でレコーディングするべからず」など。
・「時限爆弾」と「コント」は続きもの。シュールな笑いののちにベタな笑いが来ることによって、この公演のクライマックスを飾っている。
・特に解釈に困るのが「死体がひとつ」。声を出して笑うこともできず、かといって芸術性にも寄っていない。別役作品らしいと言えばそれまでだが、いまひとつオチでもしっくり来ないところが浮いていた。
・ケラは上演時、各所で続編の存在をちらつかせていたが(「幻覚カプセル」の中には、この7本以外にも多くの作品がある)、未だ実現していない。というより、多分もうしないだろう。

<ちらしより>コント集の最高峰、いとうせいこう著「幻覚カプセル」(92年/スイッチ・コーポレーション刊)からの珠玉の7本に、今を代表する笑いの名匠&新旗手3名が書き下ろす新作コントをプラス、言いたかないけど、夢の競演があっさり実現。ある種の笑いにとりつかれた方にはたまらない、ナイロン6年振りのコント・オムニバス。静かな爆笑。

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