27th SESSION

消失

2004/12/3~26 新宿紀伊國屋ホール
2005/1/6〜9 大阪ワッハホール
1/14〜15 北九州芸術劇場中劇場
1/18 栗東芸術文化会館さきら
1/21 まつもと市民芸術館
1/27 盛岡劇場
1/30 新潟りゅーとぴあ

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:犬山イヌコ、みのすけ、三宅弘城、大倉孝二、松永玲子、八嶋智人

<主要な役>スタンリー・フォルティー=みのすけ、チャズ・フォルティー=大倉孝二、ホワイト・スワンレイク=犬山イヌコ、ドーネン=三宅弘城、エミリア・ネハムキン=松永玲子、ジャック・リント=八嶋智人

<メモ>・ナイロン史上最長のツアーとなった(58日間、7カ所。公演会場数では23rd SESSION「フローズン・ビーチ」再演より一カ所少ない)。12月2日にプレビュー公演があったため、これを含めると59日間のツアー。
・ナイロン通販でDVD発売予定(05年4月)。
・2時間45分休憩なしという長丁場の公演(場内アナウンスでは2時間40分と説明)。当然一幕の時間としてはナイロン史上最長。
・シリアス・コメディーに分類される作品だが、それよりもむしろ「第2期ナイロン」を感じさせるテイストの芝居。外の世界が現実世界とはかけ離れた設定であるということ、登場人物が6人だけであることは、「4 A.M.」に近いものを感じさせるが、無論全く違う物に仕上がっている。特に「4 A.M.」はラストが曲がりなりにもハッピーエンドの形を取っていたことに比べ、観た後の印象が暗く、重い。静かなトーンが全体を包むことについては「破裂しない笑い」を目指し、小津安二郎、ウディ・アレン、エルンスト・ルビッチなどを目指しているとケラは書いている(「センス・オブ・ナンセンス」ー「せりふの時代」34号)。
・舞台セットは「フローズン・ビーチ」によく似た構造。上手側に2階へ上がる階段があり、下手奧に外への扉があること、ガス管が天井に張り出していることなどの細部を除けば、段差などの作りもよく似ている。上手奧に二段ベッド。
・「部屋の外の世界」についての説明はスライドのみ。月と地球の星間戦争が起こっている設定で、人工の月が空に衛星として打ち上げられている。おそらくひどい戦争があった後であろうことが想像される。
・スライドの説明も一部ストーリーと辻褄の合わない部分がある(一番大きな点は、スタンの年齢や、両親の離婚した時期がスライドとズレていること)。だがそれは矛盾というより、作り込まれた芝居ゆえの解釈の余地と言える。そもそも解釈不可能な世界が広がっているので、矛盾が出てくるのはむしろ当然。
・スタンリーは劇中では「スタン」の略称で呼ばれる。スタンとチャズ以外の4人は、ファーストネームで呼び合っている。ドーネンのみ、ファミリーネームが戯曲にも存在しない。これはスタンリー・ドーネン(映画監督。監督作に「雨に唄えば」など)を想起させるためと思われ、ジャック・リントの役名も「未来世紀ブラジル」(テリー・ギリアム監督)のタトルの別名から来たもの。ケラがこの作品に強い影響を受けていることは、各所で目にする。ドーネンの息子も安二郎の名で、前述の目標を考えると、映画からのインスパイアがかなり強い。
・ジャック・リントの職業はガスの修理工から探偵、管理局員へと変わっていくが、スタンへの違法な手術を取り締まるために派遣された管理局員であるという以外、管理局の内部は分からない。過去に「管理局」の名称がナイロン作品に出てきたのは「ウチハソバヤジャナイ」「テクノ・ベイビー」の「国民管理局」、または「東京のSF」においての「地球管理局」。これらのどちらかのイメージを持って書かれたのではないかと想像される。
・スワンレイクは当初出て来ない予定だったらしい(パンフレットより)。
・凝った小道具、技術、装置が有機的に展開される。これらの具象セットは「男性の好きなスポーツ」と対照的。全編を静かなトーンが包むため、これらの印象は倍加する。
・これも仮タイトルがそのまま本タイトルになった。
・テーマソングとされているのは、タートルズの「ハッピー・トゥゲザー」(66)。「ハルディン・ホテル」同様、様々なパターンが使われている。

<ちらしより>誕生する時、死する時
栽培する時、抜き取る時
殺害する時、癒す時
破壊する時、建設する時
泣く時、笑う時
嘆く時、踊る時
石を投げる時、石を拾う時
抱きあう時、別れる時
探し求める時、失う時
取っておく時、捨てる時
破る時、縫いあわせる時
黙る時、話す時
愛する時、憎む時
戦争の時、平和の時
ーだが、すべてはほんの一時、やがてなにもかも消えてなくなる。

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