15th SESSION

フローズン・ビーチ

1998/8/15〜25 新宿紀伊國屋ホール

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:犬山犬子、今江冬子、峯村リエ、松永玲子

<主要な役>市子=犬山犬子、千津=峯村リエ、愛・萠=松永玲子、咲恵=今江冬子

<メモ>・具象セットで作られた少数精鋭のサスペンス・コメディー。言うまでもないがこの作品でケラは第43回岸田戯曲賞を受賞。
・ナイロン通販でビデオ、DVD、戯曲購入可能。戯曲は一般書店でも取り扱いあり。絶版の危険性が最も薄い戯曲。
・87年、95年、03年の一幕三場で描かれる。全て同日の夏の日の出来事。87年を取り扱ったケラ作品は初。そしてちらし通りに書かれた作品も珍しい。
・タイトルは平沢進の曲名から拝借された。受賞時、ちょっとだけもめたらしい。
・映像部分で「a KERALINO SANDOROVICH theatrical」を冠したのはこの公演が最初。
・カリブ海と大西洋の間にある島の設定(島の名前は出てこない)。島の公用語はポルトガル語。部屋はリゾート地に立てられた別荘の3階のリビング。
・劇中には登場しないが、愛と萌の父・梅蔵が、一場では2階にいることになっている。また、島の住人のゲオルクが何回か外を通っている(この声は小林高鹿)。
・上手奧に萠の(後に愛の)ベッドルーム。この双子のトリックは、何度注意して見てもすり替わっているのが分からない。この公演でのシルエットは斉藤可奈子。後半1回はカーテンを閉めているから分かるが、最初1回はずっと背中が見えていて、ほんの一瞬寝返りをうつ時にすり替わっていたようだ。しかもそれを言われてもまだ分からない。
・一場の緻密な構成に対し、二場三場のザツさを指摘する人が多い。戯曲賞の選評でもほぼ全ての審査員が口にしている。だが芝居を見ている側としては、あれ以上作り込まれると逆に醒めると思われる。
・分かりづらいが、最初市子は萠を殺すはずであった。それが千津の突然の寝返りにより、愛を殺すことになってしまう。だが結果的には愛は生きており、萠は心臓麻痺の事故死を遂げる。つまりこれだけ殺意に満ちた2時間の芝居のうち、死んだのは不慮の死である萠だけ。
・後に「カメレオンズ・リップ」のパンフレットでも書かれることだが、ケラは理系的な騙し合いではなく、説明不可能な感情が殺意を操るような「思いつきの殺人」を描きたかったようである。このことは、二場の愛の台詞でも明らかになる。
・ラストになると、物が浮き上がったりターンテーブルが自動で開いたりという、「フランケンシュタイン」とは違った意味での派手な演出が行われている。
・最後の愛の台詞は、戯曲では「いくつだおまえら…」になっているが、ほぼ全ての上演で「おまえらいくつだ…」で終わっている。微妙な違いだが、ニュアンスは全く違う。
・当然この芝居を褒める人が大多数だが、ナイロンの芝居としてはかなり方向性が異なり、当時も異色の作品であった。ここまで少人数で行われた芝居は、本公演では他に「4 A.M.」のみ(再演除く)。

<ちらしより>8年に1度海辺に建てられた家に集まる4人の女。年月は少しずつ彼女達の虚偽をあらわにし、やがて思いもよらぬ結末を迎える。ケラリーノ・サンドロヴィッチが無敵の女優4名による壮絶なバトルを書き尽くす、生涯唯一のサスペンス・コメディ。

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