シリーウォークプロデュース

病気

1997/10/17〜26 青山円形劇場

作:別役実
演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:小林克也、今江冬子、松尾貴史、大倉孝二、仁田原早苗、河田義市、宮本雅通、今津登識、廣川三憲、二瓶鮫一

<主要な役>通りすがりの男=小林克也、看護婦=今江冬子、医者=松尾貴史、神様=二瓶鮫一(戯曲上の正確な役名をご存知の方はご一報下さい)

<メモ>・第11回青山演劇フェスティバル参加作品として上演。テーマは「別役実の世界1997」で、他の上演劇団は、演劇集団66「スパイものがたり」(演出:古林逸朗)、青年団プロデュース「マッチ売りの少女たち」(演出:平田オリザ)、宮沢章夫プロデュース「会議」(演出:宮沢章夫)。<上演順。この作品は2番目に上演された。作は全て別役実>
・未映像化。「フローズン・ビーチ」DVDの特典映像の中、今江冬子の部分に一部入っているのみ。
・ケラは前年もナイロンの「ビフテキと暴走」で青山演劇フェスティバルに参加。翌年も「偶然の悪夢」で参加している。
・「ビフテキと暴走」の際、ケラは円形劇場をうまく使えなかったことを悔やんでいたようで、この作品では、いわゆる一般的な円形劇場の使い方(中央部分に円形状のステージを設置し、コロシアム状に客席がそれを取り囲む)を行った。
・この作品は81年に文学座(演出:藤原新平)によりアトリエ公演として初演。
・ステロタイプな別役作品の演出ではなく、ナンセンスを加味して作り上げられた、当時としては稀な演出だった。だが別役実が客席で爆笑していたということが新聞の劇評にまで載り、その後ケラと別役との親交は深まり、空飛ぶ雲の上団五郎一座の旗揚げへとつながる。今ではむしろ別役作品をナンセンスから切り込むことの方が当たり前になるほどまでに一般化。
・ケラがまるまる一本他の作家の作品を演出したことは、これが初。
・音楽や照明の転換はラストを除き皆無。セットも移動式のもので、むしろ小道具といった趣き。
・何でもない小市民が「何もしなかった」だけでめちゃくちゃな状況に飲み込まれてしまう、という作品の形は、考えれば考えるほどナンセンス。その状況を作り上げる人たちにも何ら悪意はないだけに、余計におかしい。
・上演時間は現在までのケラ作品では最短の70分弱。キャスティングに10人の名前が載っているが、実質話を動かしているのは上記の4人と病気の男(大倉孝二)のみ。
・それまで新劇やリアリズムの文脈で語られることが多かった別役作品が笑いの側面を持ち合わせているということを提示したが、当然これも一つの語られ方に過ぎず、見ようによってはいかようにも取れる。実際、非常に哲学的にこの公演を捉えた人もいたそうだ(でも、いくら何でもそれは無理のある解釈だ)。

シリーウォーク

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