ケラリーノ・サンドロヴィッチ第一回監督作品

1980(イチキューハチマル)

2003/12/6〜 テアトル新宿
他、順次全国単館系上映館で上映

監督・脚本:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:ともさかりえ、犬山犬子*、蒼井優、串田和美、みのすけ、山崎一、田口トモロヲ、及川光博、橋本真実、吉永雄紀、峯村リエ、三宅弘城、松永玲子、大倉孝二、勝地涼、大山鎬則
(友情出演・五十音順)秋山菜津子、綾田俊樹、伊武雅刀、忌野清志郎、江波杏子、掟ポルシェ、坂田聡、鈴木慶一、手塚とおる、長塚圭史、温水洋一、ピエール瀧、広岡由里子、マギー、ロマン優光
*クレジット上は犬山犬子になっているが、公開時にはイヌコに名称変更されていた。

<主要な役>羽柴レイコ(一之江キリナ)=ともさかりえ、歌川カナエ=犬山犬子、羽柴リエ=蒼井優、東馬健=及川光博

製作:東京テアトル、配給:東北新社

<メモ>・ケラが積年の夢としてきた劇場公開映画の第一作。「プラスチックな80'sをフューチャーした痛快ラブコメディ!」みたいなことが書いてあります。
・大手ビデオショップ、CDショップでDVD購入可能(TBD1095)。同じくサントラ購入可能(ENBN002)。サントラはナイロン通販で取り扱いしているが、DVDが今後取り扱いがあるかどうかは不明。
・内外ともにあまり評価が良くなく、ケラやナイロン、とりわけ演劇界のことを知らずに見るとあまり面白くない可能性があるのでご注意ください(豪華ゲストの出演で笑えなかったりする)。
・ナイロンの諸作品からのオマージュが各所に見られる。80年代前後の3人の女の子の青春グラフィティという大枠に「1979」の匂いが感じられる(テアトル新宿での公開時に映画本編と併せてオールナイトで上映されるイベントがあった)。300万の予算で自主映画を撮り、また脱ぐ脱がないでもめる話は「カメラ≠万年筆」から引用されたものだとケラは明言(皆戸や和久井も出てくる)。室井(吉永雄紀)と日爪(林裕子)の台詞まわしもそのまま。テクノポップで機械的な動きをする犬山イヌコや、ウォークマンのボリュームを思い切り上げたりするラストシーンは「ライフ・アフター・パンク・ロック」。映画研究会の隣にロック同好会があったり、大山鎬則演じる衣笠が「さだまさし」と呼ばれる所なども同じ。
・少し細かい話だが、東馬健が一発はたかれてテンポ良く二発はたき返すのは「フローズン・ビーチ」に見られる。映画そのものと関連があったとは思えないが、レイコがむりやり男にキスをするシーンは「ハルディン・ホテル」を連想させる。自主映画の中で黄色の服に×印をした人間が多数登場するのは、有頂天のロゴを思わせる。また死体に刺したナイフから羽根が勢いよく飛び出すシーンは「フランケンシュタイン」のそれを連想する。未公開シーンの中に「青十字」から、伊武雅刀が演じるマスターの喫茶店にあの魅力のジュース「ゾンボ」と「ガンナ」があったりもする。
・公開は当初、03年初夏の予定だったが半年近く遅れた。だが映画の内容から鑑みても12月の公開がぴったりだったように思える。当然全国に波及するまでに時間を要しているので、この作品の空気を最も肌で感じ取れたのは、間違いなくテアトル新宿で観ることができた人たち。
・この映画の予算は8000万。
・ナイロンのメンバーは新人も含めてほぼ全員出演している。あり得ない人が高校生役で出ていたりするのも見どころ。
・映画のクランクインは2002年の10月。ファーストシーンは桜沢(新谷真弓)が花を洗っているカット。クランクアップのシーンは一之江キリナのデビュー写真の静止画。
・この映画のポスプロは予定より大幅に遅れ、「東京のSF」の稽古とだだかぶりになってしまった。このため、ケラは連日連夜徹夜の日々を過ごすことになったようだ。
・ケラはスタッフと随分ソリが合わなかったようで、記録の津崎昭子が現場の実権を握っていることにいらいらしたり、編集の阿部亙英に嫌味を言われまくったりしたようだ。いいのかな実名出してるけど。
・「難しい所を突いている」(三谷幸喜)「間口の狭い所を狙っている」(行定勲)などと、公開前からこの映画のヒットを懸念する声が多かった。結果的にやはり目論んでいたヒットからは遠く、映画評論家の間でもあまり評判は良くなかったようだが、そもそも日本にこういったタイプのコメディーものがあまり存在していないから、と楽観視する声もある。
・どうしてももったいないのは、役者の演技にこだわりすぎて、一般の映画観客が既に持っているリズムと根本的に違ってしまったところ。台詞のバックに音が鳴っておらず、冗長に思えるシーンが連続している。ケラ作品のファンならばこの間を好きになれるが、予告編がスピーディーに編集されていただけに、ノンコンシューマー相手にこのスピードは少し遅い。また、ストーリーテラーが衣笠からリエに変わってしまうのも痛い。
・ラッシュの際には2時間半あったものを約30分カット。エンドロールまでぶっ通しで2時間1分57秒。
・使用曲はYMOの「ライディーン」が印象的なシーンを飾るほか(予告編で使用されたのはRESONANCE-Tのトランスリミックス)、ミッチーが自分で出したと言われる東馬健の「セルロイドの夜」がクライマックスを飾っている。オープニングはプラスチックスの「GOOD」。皆戸が突然狂ったように踊り出すあの名曲は「1980サントラ3〜終業式・操行ゼロ〜」の後半部分。「操行ゼロ」はロンバケの曲名だが、まるで関係ない(ように思える。何かご存知の方がいらっしゃいましたら、ご指摘下さい)。
・オープニングのアニメーションが何だかナイロンと似ているのは、映像制作がいつもナイロンの映像を担当している上田大樹だから。
・カットされた未公開シーンの中で、衣笠が自室でマルチ録音している映像はかなり貴重。かつてニューウェーブキッズだった人たちにはたまらない。
・次回作の予定は決まっていないが、ナイロンのこれからの活動の視野にFILM SESSIONの構想があることが明かされている。

<ちらしより>テクノポリスの空の下、乙女心は乱れる。

東北新社

突然ですがカルトクイズ!
全問正解できたあなたは立派な「1980」ファン!

1.レイコの母校の高校の名前は?
2.リエが脱ぐ脱がないでもめている自主映画のタイトルは?
3.久男がいつも吸っている煙草の銘柄は?
4.この映画のストーリーは何年何月何日に始まって何年何月何日に終わる?
5.衣笠の出身地は?
6.一之江キリナの暴露本のタイトルは?
7.東馬健のプロポーズの言葉は?
8.カナエの母親の名前は?
9.瀬戸は山口百恵の離婚に何円賭けている?
10.廣川三憲は何の役?(声の出演を除く)

正解はすべて「1980」の中にあります。
(未公開シーンにあるとかパンフレットにしか載ってないとか、そんなせこい真似はしていません)
何問答えられましたか?

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